北野病院・四季の里では毎月のイベントとして、
日本各地の家庭料理や馴染みの料理を提供する
“郷土食の日”を開催してきました。平成27年7月
の記念すべき第1回目は宮城県の郷土食でした。
そして長い年月をかけて47都道府県を順番に
まわり、今年の5月21日(木)に行なわれた
東京都の郷土食を最後に今回の企画は一段落
します。

日本各地には美味しい料理がいくつもありますが、
献立に取り入れるためには栄養のバランスだけで
なく、ご高齢な患者様やご利用者様の咀嚼や嚥下
の状態に合った安全な食事が求められます。
郷土料理の雰囲気を残しながら、患者様やご利用
者様に合わせた献立を作ることは想像以上に難し
く、実際に提供してみると食べづらさや見た目の
印象、味付けの好みなどたくさんの反省点ありま
した。

しかしその一方で、温かい言葉もたくさんいただき
ました。「毎回どんな料理が出てくるか楽しみに
している」と期待する声や「私の故郷の料理はいつ
出るだろうか」と待ち侘びる声、そして「いつも
大変ね。ご苦労様」と私たち職員を労うような声も
かけていただきました。

企画当初は不安もありましたが患者様やご利用者
様、そして職員の皆様からたくさんの励ましや
アドバイスをいただき、なんとか無事に企画を終
えることが出来て安堵しています。時には失敗
することもありましたが、この挑戦はこれからの
食事作りに必ず活きてくると思います。

そして、また新しい企画がスタートします!!!
今度は『世界の国民食』『全国味めぐり』
『お楽しみ昼食』
という3つの企画を交替で
行なっていく予定です。
今後も患者様、利用者様に喜んでいただけるような
食事作りを目指して精進致します。

【郷土食の写真と献立】


【宮城県】
○あさり飯
○笹かま
○油麩の田舎煮
○ぼこの田楽
○白菜の和え物
○漬物
○おくずかけ(*1)

【福島県】
○鮭の酒粕煮
○ひき菜炒り(*2)
○里芋の田楽風
○漬物
○味噌汁

【長野県】
○信州月見そば
○鶏の山賊焼き(*3)
○法蓮草の胡桃和え
○にらせんべい(*4)
○りんごジュース

【島根県】
○へか焼き(*5)
○青梗菜と舞茸の炒め物
○ごぼうサラダ
○呉汁(*6)
○ぶどうフルーチェ

【香川県】
○しっぽくうどん(*7)
○豆たっぷりサラダ
○カニクリームコロッケ
○法蓮草の胡麻和え
○みかんフルーチェ

【鹿児島県】
○ひるあぎ(*8)
○さつま芋サラダ
○さつま揚げ煮
○漬物
○味噌汁

郷土食の説明

おくずかけ(*1): 片栗粉などでとろみを付けた醤油味の汁に温麺や野菜、豆麩や油揚げなどを入れて煮込んだ汁料理。
ひき菜炒り(*2): 福島県北部地方の郷土料理。“ひきな”とは大根や人参の千切りのこと。大根、人参、油揚げなどを醤油、砂糖、みりんなどで甘辛く味を付ける。
山賊焼き(*3): 鶏もも肉をすりおろしたニンニクや玉ねぎを効かせた醤油だれに漬け込み、片栗粉をまぶして油で揚げた料理。
にらせんべい(*4): 長野県北信地方に伝わる郷土料理。韓国料理のチジミやお好み焼きのような料理で、にら入りの粉物料理で砂糖醤油や味噌などを付けて食べる。
へか焼き(*5): 魚を使い、すき焼きのように醤油で甘辛く味付けした料理。
呉汁(*6): 大豆を水に浸し、すりつぶしたものを「呉(ご)」といい、呉をみそ汁に入れたものを「呉汁」 という。秋に収穫された大豆が出回る秋から冬が旬である。
しっぽくうどん(*7): 讃岐の冬の代表的な郷土料理。野菜と汁を一緒に煮込み、茹でたうどんにかけて食べる。
ひるあぎ(*8): “ひる”とはにんにく、“あぎ”とは炒めるという意味。にんにくの葉を豚バラ肉、人参、かまぼこなどの具材と一緒に炒めた料理。